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「異業種に学ぶビジネスモデル」より、大切な7つの視点

異業種に学ぶビジネスモデル」という本を読んでいます。

社会にあるビジネスがどのように収益をあげ、成長しているのか知りたいと思い手に取りましたが、非常に勉強になってます

この記事では、「異業種に学ぶビジネスモデル」の第3章「異業種のビジネスモデルを見る視点」をまとめます。

 

ビジネスモデルを見る7つの視点

本書で紹介されているビジネスモデルを考える視点は以下の7つ。この本

  1. 顧客の分類
  2. 顧客価値の再定義:(主にメーカー用:サービス・ドミナント・ロジック)
  3. 顧客価値の再定義:(主にサービス業容:マイナスの差別化)
  4. 顧客の経済性
  5. バリューチェーンのバンドリング/アンバンドリング
  6. 経営資源の持ち方(ヒト、モノ)
  7. 定番の収益モデル

この7つは、マルキデスという大学教授の分類によると、①がWho(顧客)、②③④がWhat(顧客への価値)、⑤⑥⑦がHow(運営方法)に相当します。

この本では、以上の7つの視点に関して、教科書にのるような有名な事例を紹介し、その有名な事例のビジネスモデルのエキスを、異業種に移植するとどうなるか考え、同じようなビジネスモデルをもつ異業種の事例を取り上げています。

これにより、異業種に移植可能なビジネスモデルの発見と、移植の仕方のヒントが見つかります。

 

本ブログですべてのビジネスモデルを紹介するのは困難です。

なので今回言及するビジネスモデルを考える視点は以下の4つに絞ります。

  • 顧客の分類
  • 顧客再定義の価値
  • 顧客の経済性
  • バリューチェーンのバンドリング/アンバンドリング

 

では中身に入っていきます。

顧客の分類

ビジネスモデルを構築するにあたって、「誰が顧客か」を決めることは、最初に重要なことである。

顧客が誰かを考えるにあたり、マーケティングの分野では、意思決定者、購買者、使用者と分類します。

本では幼稚園・保育園を例に上げています。

意思決定者=母親、購買者=父親、使用者=子供 ですね。

真の顧客は誰か?

顧客は誰かと問えば、「毎日営業している相手。毎日対応している相手」と答えるかもしれないが、その事業の価値を一番感じている真の顧客は、その顧客の影に隠れているケースも少なくない。

「サービスを受ける人だけが顧客ではない」という視点は大切かなと思います。

 

ぼくも塾講師をやっていますが、顧客は生徒だけでなく、もちろん母親、家族までもが全員顧客だと考えることができます。

 

(ここで、自分を例にあげてしまう)

自分(ぼく)が直接影響を及ぼす「顧客」(生徒)が、影響を及ぼす人たち(生徒の家族や友達)も顧客だと考えると、誰が一番価値を感じているのでしょうか。

 

生徒自身が最も塾へ通うことに価値を感じているのではなく、「息子を塾に通わせている」という社会的評価が得られている母親が最も価値を感じているかもしれませんし、「塾に行っている孫がいる」おばあちゃんの満足感はさらに高いかもしれません。

そのようなことを考慮すると、「サービスを受ける人だけが顧客ではない」ということが明快になる。

ベネッセ  -問題は先生

本では、進研ゼミで有名なベネッセが例として挙げられています。

ベネッセ(福武書店)は、1969年からB to Cへ事業を拡大しています。

それまでは、進研模試などを学校へ販売するB to B事業が中心でした。7/11

ベネッセがB to Bから、B to Cに進出できた要因にあるのは、営業で培った学校の先生とのネットワークでした。

 

通信教育の問題作成はコストも高く、社員ではできませんでした。

しかし、ベネッセには一番的確に作問ができる現役の学校の先生とのネットワークがありました。この本

そのネットワークを利用し、先生へ作問を依頼して、質の高い問題が定期的に多数出る仕組みを作り上げました。

 

 

ベネッセは学校単位で顧客をくくっていても顧客ニーズは見えてこないことから、通信教育事業を開始し、Cの領域へ事業を拡大。

その変換にあたり、現役の学校の先生のネットワークが活用できたことが、強みとなっています。

 

学校という既存の顧客から、生徒へ目を向けるときに、元々のネットワークを利用して仕組みを作り上げるというプロセス、面白い。。

顧客再定義の価値① -サービス・ドミナント・ロジック

マーケティングの分野では、かつてはサービスとモノは二分法でとらえられており、サービスはモノ経済の特殊系と考えられていた。この考え方を「グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)」と呼べば、モノを「サービス経済の一形態」ととらえるのが「サービス・ドミナント・ロジック」である。

以上の考え方によると、すべての企業は顧客にサービスを提供していて、そこにモノの受け渡しがあるのが「製造業」だということになります。

マーケティングの本にはよく書いてあることです。

ぼくが高校生の頃に読んだ、「ドリルを売るには穴を売れ」もタイトルから本質を突いています。

「人はモノではなく、体験を買っている」みたいな言葉もよく聞きますな。

この本

ヒルティ -ほしいのは整備済みの工具

 

例として挙げられている事例はヒルティという会社。

恥ずかしながらこの会社、ご存知なかった。

 

ヒルティは建設現場に、ドリル・ハツリ製品、切断・研磨製品、アンカー製品などを提供している会社。

1990年台の後半から、「製品がコモディティ化していること」また、「その製品が現場で十分手入れされていないこと」に気づきました。

そして、従来の販売方式から一転し、必要な工具一式をリースするビジネスモデルに転換。

自力でメンテナンスする面倒を省き、リース料を払えば、いつでも必要な工具一式を利用できるようにしました。

いくつか革新しなければいけない点がありましたが、このリース型のビジネスは、既存事業より利益率が高くなり、ビジネスモデルの転換は成功してます。

 

顧客の経済性

事業の川上から川下までの一連の連鎖をバリューチェン(価値連鎖)と言いまして、複数の企業が行っていたバリューチェーンを束ねる事を「バンドリング」、逆に同一企業で行っていたバリューチェーンが、切り離されていくことを「アンバンドリング」と呼びます。

顧客の経済性とは、その製品・サービスを顧客が購入することによって、顧客が負担するコスト面で、どれだけ価値が上昇するかということである。

顧客の経済性には、以下の2種類があります。

  1. 顧客のトータルコストが安くなること
  2. 顧客のコストが固定費から変動費に変わること

 

ここでのトータルコストとは、単に製品の価格というわけではなく、取り替えなどにかかる労働力・時間なども含めたコストのことです。

 

リブセンス -固定費ゼロでのマッチング

リブセンスとは、求人、不動産、中古車の3つの領域において、インターネットを活用した情報メディアを運営する企業です。創業五年で東証マザーズに上場した、ものすんごく成長している企業。

一見、やっていることがリクルートに似ていますが、ビジネスモデルは全然違います。

リクルートは「掲載課金型」であるのに対して、リブセンスは「成功報酬型」です。

運営している求人サイト「ジョブセンス」「ジョブセンスLink」への広告掲載費はゼロで、採用できた段階で成功報酬が課金されます。

「成功報酬型」でピンと来ると思いますがアフィリエイトみたいなもんですね。

不動産情報の方では、広告のウェブ掲載費はゼロで、物件への問い合わせが入る都度、利用料が課金されます。一方入居が決まった段階で、ユーザーにはキャッシュバックがあります。

成果ゼロなら費用ゼロ、わかりやすくて明快ですね。

本によると、2013年12月期の売上高は43億円、営業利益は16億円、売上高営業利益率は37%と、めちゃくちゃに高い利益率です。大黒字です。

 

このリブセンスのビジネスモデル、リクルートはなかなか真似出来ないんですよね。

というのも、同じように仕掛けるとリクルートは既存の掲載料収入がなくなってしまいますから。

 

本では、リブセンスのアキレス腱(弱いところ)として、無料登録故に起きるコンフリクトを挙げています。

いい人材確保したい企業側と、登録者を増やしたいリブセンス側。

ろくでもない登録者ばっかりになると、コンフリクトですね。

 

バリューチェーンのバンドリング/アンバンドリング

他業界の事例を静態的に見ていても、ビジネスモデルが見えてこないこともある。業界の動きを動態的に見ることによって、ビジネスモデルのヒントが見つかることがある。

事業の川上から川下までの一連の連鎖をバリューチェン(価値連鎖)と言いまして、複数の企業が行っていたバリューチェーンを束ねる事を「バンドリング」、逆に同一企業で行っていたバリューチェーンが、切り離されていくことを「アンバンドリング」と呼びます。

バンドリングの例として、スルガ銀行があげられてます。

スルガ銀行は、フリーローンに関して、伝統的な銀行が、バリューチェーンの一部をノンバンクに依存していたのを、すべて自行で完結し、様々な顧客ニーズに応えられるようにしました。

ノンバンクっていうのは、業務を行わず、銀行からの融資などによって調達した資金で与信業務を行う機関です。

与信業務だったりを他社に任せず、全部自前でやっちゃうっていうのがバンドリングですね。複数の企業が行っていたバリューチェーンを束ねてます。

 

一方アンバンドリングの例として挙げられているのが、星野リゾート。

日本のリゾート施設は、旧来、所有と運営は一体で行われていました。

しかしバブルが弾けた後に開発利益を得にくくなった投資家や不動産業者にとっては、独特のノウハウが必要な運営からは、手を引きたい企業が少なくなかったんですね。

で、そこに出てきたのが星野リゾートで、運営ノウハウを武器に、再生事業、運営受託事業を拡大しているというわけです。

 

セブン銀行 -他行客が最上客

アンバンドリングの例として、セブン銀行が具体的に書かれています。

セブン銀行は、バリューチェーンの視点から言えば、通常の銀行のバリューチェーンをアンバンドリングし、その中でATMに資源を集中投下してきた企業と言えます。

セブン銀行って使いますか?

 

あれって大量の銀行と提携してる便利なATMって認識あると思います。

で、どうやって儲けているのかというと単純で、他行の預金者がセブン銀行のATMを使ったときの手数料なんですよね。

 

昼間だったら100円ちょいで、夜とかだったら200円くらいですかね。

上得意客は、セブン銀行の口座を持っている客じゃなくて、他行の預金者。

なるほどなって感じですわ。

 

終わりに

ビジネスモデルについて書いてある本は片っ端から漁っていきたいですね。

この本は文庫本なんでお手頃な価格です。

中はぎっしりビジネスモデルについて書かれているので、ビジネスモデルについて勉強したい人は今すぐ買うべき。

 

まぁ本ばっかり読んでもあれなんで、自分で一通り何かしら上から下までビジネスに触れたいなと思います。

 

 

 

 

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